【連載ブログ】カウンセリングの実際 〜幸せなパートナーシップへの道〜

<その15:コミットメント/選択する(2)>

 結婚をしている場合には、もう一度この人と結婚をするかどうかを決めることになります。

 こうして、向かい合うことにコミットメントしていくと、真に二人が向き合った時に、道が開けます。

 
 時には、別れるという選択がその答えであることもあるのです。

 けれども、命がけで納得いくように向かい合っているから、やり残しがなく、お互い相手を理解して尊重して別れ、それぞれ新しい自分の道を歩んで行くことになります。

 それが二人の真の幸せになるのです。

 たとえお互いが別れて別々の道を歩むことになっても、それぞれの道で、新しい真実のパートナーと出会って幸せになっていく道です。


 僕が直面したことも、まさにそうでした。


 たとえ、どんなに素晴らしいカウンセラーであっても、当人達が真に前に進む決心がつかなければどうすることもできません。

 心の変化をさせられるのは、その人しかできないからです。

 そして、自分の内面に深く目を向ける作業は、とても大変な作業でもあります。

 それを乗りこえることができたのは、結局のところ「愛の力」なんだと思います。


 僕がカウンセラーとなって、たくさんの離婚問題のご相談を受ける中で、このことは改めて実感したことです。

 問題を乗りこえて幸せを手に入れた方々に共通しているのは、最後はこの「相手を愛する心」を貫けるかどうかなのです。


 僕は、あんな無茶苦茶な恋愛観でつきあっていたにも関わらず、この人と一生添い遂げよう、という気持ちが不思議と途切れることはありませんでした。

 それは、僕にとっては、一番辛くて寂しかった恋人との別れの時に、無茶な恋愛観にもかかわらず僕と価値観を共にすることを選んでくれた彼女が、強い信頼と愛情に値すると人だと心の底から思ったからではなかったかと思います。


 では、奥さんはどうだったのでしょう。

 ちょうど一人目の娘の出産を目前にしたある日、食事をしている時に、ふと思いついて彼女に聞いてみたことがあります。

 どうしてあんな無茶な男だった僕と、別れようとも思わず付き合いを続けてくれたのか、と。

 すると彼女はたった一言、こう言ってくれました。


「何か価値があるように思っていたから」


 問題を乗り越えていく最後のそして最大の切り札は、「相手を愛する心」と肌で感じたのはこの時でした。

  (16)問題はギフトを持ってやってくる(1) へ続く

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