誰もが感じている「心が自由にならない」思いを解き放つヒントにしていただけたら、との思いから、この連載をはじめました。
その第8回です。
私たちは、幼い頃の記憶をあまり覚えていません。

ところが、記憶が明確な時代に、辛い事があったりすると、まるでそれが生まれた時からずっと続いているように感じてしまうところがあります。

覚えていないということは、どんな形にでも作ることができます。

ある意味、自分の記憶というのは、自分の都合のいいように書き換えられていると言えます。

また、人の記憶は、喜びや楽しかった思いよりも、辛く悲しい思いのほうが強く記憶に残ります。

昔のことを思い出した時、とても苦しい出来事があると、その苦しさの大きさゆえに、他の良い思い出が出てこないことがあります。
そうすると、まるで何もよかった出来事がなかったかのように感じてしまうこともあるのです。


辛い目にあったり、嫌な雰囲気が家族の中にある時。

その思いは、きっと自分の生まれた時からずっと続いているに違いない。
楽しかったことも、うれしかったことも何もなかったに違いない。

そうしたネガティブな思いは、忘れてしまった記憶をネガティブな思いに書き換えていきます。

あまりに辛い出来事があると、それがすべてを覆ってしまうのです。
そして、まるで、生まれてから一度も笑ったことがなかったようにさえ、思えてしまいます。


私自身がまさにそうでした。

両親に愛されていないに違いない、という誤解は、私の忘れてしまった記憶を、生まれてからずっと愛されなかったに違いない、生まれてからずっと苦しかったに違いない、という思いで覆われ、「愛されなかったストーリー」というダークストーリーに書き換えてしまったのです。

でも、そのダークストーリーを書いたのは、両親ではありませんでした。

自分です。
誰あろう、自分が自分で自らの人生を「愛されなかったストーリー」に書き換えてしまったのです。

そして、それは、私自身の人生をずっと支配してきました。
「ストーリー」とは、ずっと続く心理パターンのことです。

「愛されなかったストーリー」を描いた私は、それを何年も描き続けました。

カウンセリングによって、こうした心の働きを知り、両親から愛されていなかったのではなかったと誤解を解く日まで続いたのです。

あなたはいかがですか?

もし、今、「愛されなかったストーリー」を生きているとしたら。

もしかしたら、あなたも自らの記憶を「愛されなかったストーリー」に書き換えてしまっているのかもしれません。

自分が描いたストーリーであれば、それを自らの手で「幸せのストーリー」に描くこともできるはずなのです。

☆ 続く ☆

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