誰もが感じている「心が自由にならない」思いを解き放つヒントにしていただけたら、との思いから、この連載をはじめました。
その第13回です。
☆このブログは「八日目の蝉」の内容に踏み込んで記述しているところがあります。これからこの小説や映画等をご覧になろうとされている方は、その点についてご理解の上、ブログをお読みください。

この連載で、私がこの映画を観た頃に、不思議と私のカウンセリングを受けてくださっているクライアントさんが同じように映画を観て、私と同じような感じを感じられていたと書かせていただきました。

今回は、そんな中の一人の方のお話です。
(ご本人に許可を得て書かせていただいています。)

その方のことを、ここではAさんと呼ばせていただきます。

Aさんが、最初にカウンセリングにこられたのは、「やりたいこと」「楽しいこと」がわからない、というご相談でした。

よくよくお話を伺ってみると、
Aさんは、小さい頃に家庭が複雑で、大変だったために、感情を感じないようにすることで、自分の小さな心を守って成長されておられたのです。

そこで、今までどんなに大変だったか、生い立ちから今までの半生をずっと語ってもらうことを、積み重ねていきました。

昔の出来事を何度か語っていくうちに、Aさんは、ようやく、両親に対する恨みつらみ、また、その下にある悲しみを少しずつ感じるようになっていきました。

合わせて、小さな頃の自分に会いにいき、その子が当時感じられなかった感情を替わりに感じて言葉に出したり、その子を抱きしめてあげたりする、「インナーチャイルドワーク」と呼ばれるイメージワークなどをやっていきました。

小さいころに苦し過ぎて感じないようにしていた感情は、いつか表に出たいと、無意識に心の中で叫び続けています。
こうした感情を未完了の感情と言ったりしますが、この未完了の感情は、大人になった今からでも、感じていくアプローチをすることで、消化してなくしていくことができます。

時間をかけて何回も感じていく作業をしていくことで、未完了の感情を感じ始め、それとともに、日常でも感情を感じていかれるようになりました。

Aさんにとって、感じないようにフタをしてきた過去を思い出して、今、替わりに感じてあげることで、感情を感じてもいいんだ、という許可が心の中に生まれたのでした。

カウンセリングによって「心が自由になった」ことによって、日常でも「感じる」ことができるようになり、「楽しい」「うれしい」を感じるようになっていき、やりたいことも生まれていったのです。

そんな彼女に、映画を観て感じた感想を聞いたところ、文章にしてくれましたので、それを紹介させていただきたいと思います。

* * * * * * *

この映画には、色々な愛がありました。

人を愛する気持ち
感情
そうしたものがないと、この映画は成り立たない。
愛で成り立っていると思いました。

どんな立場にいても、どんなに苦しくても、人は居場所を求めていて
足りないと思ったら、どこかへ探しに行ったり、気づいたり。

男でも女でもなく、肯定でも否定でもなく
人間として、人間だからいろんなことがあるんだろうと。

そして、私はまだ気づいていないのかもしれないけれど、
今いる世界ではない、違う世界が、違う生き方があるのかもしれない
そう思いました。

映画の中で
「もっと違うところに出て行きたい」
というセリフがありました。

もっと違うところへ出て行きたい
ずっと抱えているものを手放すこと

それを私もしたいと思います。

人の記憶は時として残酷ではあるけれど、私にとっては、それを思い出すことが、本当の自分に気づく道になったように感じています。

☆ 続く ☆

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